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生体観察における超音波

2010 / 04 / 15    カテゴリー: 新着情報

■周波数による違い
超音波による生体組織の観察には、一般的に2MHz~10MHzの周波数が利用されます。
心臓や腹部では2~3.5MHz、乳腺や甲状腺では7.5~10MHz、眼科領域では10 MHz、
骨や筋腱組織では、5~7.5MHzが利用されます。
観察部位と周波数の関係を要約すれば、皮膚より距離が近い部位では高い周波数を用 い
距離が遠い部位では低い周波数を用います。これは、超音波が生体組織内を伝播する際の、減衰と周波数の関係によります。

■生体内の反射の強さについて
生体内の各組織は、それぞれ特有な音響的性質(※これを音響インピーダンスといい、組織の音速と密度の積で表されます。)
をもっています。反射はこの音響的な性質の異なった境界で起こり、その境界での変化が大きいほど反射が強くなります。
 また、組織や臓器の境界など反射する面に対して、超音波がどのように当たるか(入射角度)によっても反射の強さが変化します。
直角に入射する場合がもっとも強く、入射する角度が浅いほど反射は弱くなるわけです。つまり、超音波診断装置を上手に使うポイントは
観察したい骨や軟部組織に対して垂直にプローブをあてる事です。

■音響陰影について
超音波が通過する過程に強い反射体や吸収体があると、超音波の通過が妨害されて、その後方には無エコーまたは
低エコー域が描出されます。この現象を音響陰影と呼んでいます。
下図は超音波による腓骨下端部の断層像ですが、骨の強い反射によりその後方が低エコーになっているのが確認できます。

■超音波画像の表示方法
超音波診断装置は、超音波のパルスを生体内に入射し、反射して戻ってきた超音波 パルス(エコー)をコンピュータ上
に取り込んで処理し、CRTなどの表示部に表示 して、組織の形状や性状を知るための装置です。
  エコーの強さや形は、反射対象の大きさや形、周辺組織との固有音響インピーダン スの差異により異なり、伝播する
間に組織によって減衰や散乱を受けた結果となって います。即ち、組織の音響的性質を反映しており、病変部は正常
組織とは音響的性質が異なるので、画像判断が可能となるわけです。